子育て支援事業
1.経過
本格的な少子・高齢化社会の到来、核家族化、地域のつながりの希薄化、女性の就業・社会進出など、家庭や地域を取り巻く環境が大きく変化する中で、子育て機能の低下等の問題が顕在化しており、多様な子育て支援ニーズに対する公的・社会的支援のより一層の充実が求められています。
平成17年、日本は人口減少社会が到来し、出生児数は106万人、合計特殊出生率は1.26と過去最低を記録。この背景には景気の低迷、低賃金、雇用不安、晩婚化、長時間労働などの社会経済的要因があります。国は平成19年12月に「子どもと家族を応援する日本」重点戦略を策定し、少子化対策や子育て支援策の制度的枠組みの再構築をはじめ、家族が共に過ごす時間が持てるワークライフバランス、子育てをしながら働き続けられる多様で柔軟な働き方の実現、子育て家庭を支える地域づくりによる孤立化防止と地域子育て支援拠点の面的整備等を打ち出しました。これを受けて、社会保障審議会児童部会等において子育て支援策の充実や、包括的な次世代育成支援策の検討が重ねられてきました。
平成20年11月には児童福祉法等が改正され、「家庭的保育事業」や「地域子育て支援拠点事業」等が新たに法的に位置づけられたところです。
こうした動向を踏まえ、県域における市町それぞれの地域の実情に応じた多様な子育て支援事業を展開するとともに、横浜市においては平成21年3月に開所した「鶴見区地域子育て支援拠点」に続いて、平成22年1月から「磯子区地域子育て支援拠点」の運営を開始しています。
2.地域子育て支援拠点事業[子育て支援センター事業、及びつどいの広場事業](厚生労働省補助事業)
法人では、平成2~3年度より各地域に子育てアドバイザーを配置して「子育て支援事業」に試行的に取り組み始め、平成4年度以降は県及び県域市町の委託事業として活動を展開。さらに平成6年度からは“子連れで気軽に利用できるフリースペース”「子育てひろば」を公民館やコミュニティセンター等で運営を開始。プログラムがなく、予約も要らない「子育てひろば」では、母親等の本音を受け止めることを心がけ、ゆったりと安定して、子育てに向き合えるよう“母親・保護者”支援を優先的課題としました。
平成9年度には国の補助事業「地域子育て支援センター事業」が導入され、各市町にフリースペース併設の常設拠点が整備されるとともに平成15年7月に成立・公布された「次世代育成支援対策推進法」や「改正児童福祉法」に基づき、各地で『市町村行動計画』が策定されてきました。
平成19年度には国の「地域子育て支援拠点事業」が創設されたこと等から「子育て支援センター(常設)」「つどいの広場(週3日以上開設)」等、事業内容の整備拡充が進められてきています。
平成21年度は県内(政令市を除く)の逗子市・鎌倉市3か所・藤沢市2か所・茅ヶ崎市2か所・小田原市3か所・秦野市3か所・座間市・南足柄市2か所・寒川町・松田町・山北町・大磯町の8市4町から、計21か所の「子育て支援センター」「つどいの広場」を受託して、子育てアドバイザー81名を配置して運営しました。
(1)「子育てひろば」の設置運営
常設拠点「子育て支援センター」各所には3~9名の子育てアドバイザーを配置し、乳幼児(0~3歳)をもつ母親等が気軽に立ち寄れるフリースペース「子育てひろば」を運営し、母親・保護者たちのくつろぎ、息抜きの場、親子で自由に過ごせる場、他の親子との出会い・交流・情報交換の場等として提供しています。
「子育て支援センター」等の利用人数は年々増加し、平成21年度実績は217,979人で、着実に“支援拠点”として各地に根づいています。
図-1 子育て支援センター、つどいの広場等の利用状況


(2)相談への対応
相談は、「ひろば」の中での対応が最も多く、他には「電話」、「来所面接」、「訪問(基本的に本人からの依頼、または関係機関との連携によるもの)」、「他機関からの紹介」、「他機関実施事業への出向の中での対応」等です。
アドバイザーは、親の気持ちを尊重し、まずは“共感をもって丸ごと受け止める”よう心がけています。そうした姿勢により、「育児がつらい」「イライラする」「子どもがかわいくない」「自分の時間が欲しい・子どもと離れたい」といった子どもや子育てへのネガティブな感情や本音が多数寄せられます。
子どもの育ち具合や育て方への不安や疑問を抱く要因は、情報過多・知識偏重や経験不足によるものであったり、夫や周囲の無理解、母親等の孤立によるものであったりします。
「ひろば」では、他の親子と接したり、先輩ママ等の経験談やいろいろな情報が得られるだけでなく、アドバイザーが個別相談を受けるなど、親が安定して子育てに向き合えることを大切にした対応に努めています。
中には「発達の遅れや障害が心配されるケース」、「離婚」、「経済的困窮」、「精神疾患等のさまざまな要因による養育困難ケース」、「虐待・ネグレクト」等も少なくありません。
こうしたケースには他機関と連携しながら対応する場合も多くありますが、単なるつなぎや紹介ではなく、可能な限り生活全般にわたる状況把握を行うとともに継続的なフォローにあたっています。
「ひろば」の設置・運営にあたっては『親子同士及び子育てアドバイザーとの触れ合い・情報交換』―『身近な関係性から表出される悩みや相談の受け止め』―『継続的な個別対応(関連機関との連携・フォロー)』という一連の流れとしての支援活動を事業の根幹に位置づけて取り組んでいます。
表-1 相談件数の推移
※市町ごと・支援センター及びつどいの広場等総合計。訪問・出向相談含む。
| 市町 | H17 | H18 | H19 | H20 | H21 |
|---|---|---|---|---|---|
| 横須賀市 | 2,891 | 2,694 | 3,197 | 2,493 | ― |
| 逗子市 | 2,922 | 2,557 | 2,917 | 3,149 | 2,728 |
| 鎌倉市 | 6,596 | 7,278 | 8,367 | 10,083 | 9,092 |
| 藤沢市 | 4,787 | 5,129 | 6,700 | 8,745 | 9,160 |
| 茅ヶ崎市 | 3,713 | 3,098 | 3,740 | 3,675 | 3,773 |
| 小田原市 | 4,199 | 6,492 | 7,605 | 7,668 | 8,318 |
| 秦野市 | 2,182 | 2,582 | 2,025 | 2,537 | 2,512 |
| 南足柄市 | 1,291 | 1,485 | 1,681 | 2,420 | 2,104 |
| 座間市 | 1,315 | 1,835 | 1,803 | 1,584 | 1,567 |
| 寒川町 | 2,822 | 2,652 | 2,424 | 2,915 | 2,781 |
| 松田町 | 922 | 995 | 740 | 690 | 458 |
| 山北町 | 1,372 | 1,977 | 1,527 | 1,351 | 1,086 |
| 大磯町 | 570 | 685 | 751 | 784 | 839 |
| 年度計 | 35,582 | 39,459 | 43,477 | 48,094 | 44,419 |
3.ファミリー・サポ―ト・センター事業(厚生労働省補助事業)
核家族化、地域社会、地縁関係の希簿化、慟く女性の増加等を背景に、出産、介護、病気、通院など、子どもを一時的に「預かってほしい」とのニーズが増大しています。ファミリー・サポート・センター事業は、平成11年度に当法人受託により、小田原市で県内では初めてスタートしました。
平成21年度は6市2町で事業を受託し、8か所で実施しています。
まず「依頼者」の要望をスタッフが丁寧に把握して「依頼会員」と「支援会員」の三者で綿密な事前打ち合わせを実施し、調整合意がなされてから実際の預かり援助を行っています。センターでは対応できないようなケースについては、他の専門機関やサービスと連携を図って援助にあたります。
この5年間で「依頼会員」は約2倍に増加し、子どもの一時預かりニーズを満たす事業の必要性が裏付けられる一方で、「支援会員」の増加がそれに追いつかず、依頼者と支援者のニーズのアンバランスが拡大しています。これは、地域の「支援会員」の主体となっている在宅の主婦層が減少傾向にあり、逆に、職を持つことで利用者(「依頼会員」)になっている実情等も背景にあると思われます。
このように、事業が定着しつつある一方で子どもを預かる支援者の確保をはじめ、多様化する依頼内容への綿密な対応、利用料の補助の在り方等、今後行政関係機関と協力して検討・解決していかなければならない課題にも取り組んでいく必要があります。
図-2 ファミリー・サポート・センター活動状況(平成21年度)

図-3 ファミリー・サポート・センター事業 会員数の推移

図-4 ファミリー・サポート・センター事業 活動件数の推移

4.横浜市地域子育て支援拠点事業
横浜市鶴見区地域子育て支援拠点「わっくんひろば」のホームページはこちら
横浜市磯子区地域子育て支援拠点「いそピヨ」のホームページはこちら
横浜市では次世代育成支援行動計画「かがやけ横浜こども青少年プラン」に基づき、平成18年度より地域の親子が気軽に利用できる子育て支援の総合的な拠点を各区に1か所設置するとして開始。子育て中の養育者とその子どもを対象とした施設であるとともに、地域の子育て支援関係者に対する事業も展開。具体的な5つの機能として①親子の居場所づくり ②子育て関連情報の提供 ③子育て相談 ④子育てネットワークの形成を図るための子育て支援者への研修・交流 ⑤子育て支援に関わる人材育成、を実施しています。
運営は、NPO法人、社会福祉法人等が区と協働で行い、市は整備費補助や拠点での事業実施についての各種協力を行います。
法人では公募を経て平成20年11月に鶴見区地域子育て支援拠点、平成21年6月に磯子区地域子育て支援拠点の運営を受託しています。
(1)鶴見区地域子育て支援拠点「わっくんひろば」
① 平成21年4月より開所。鶴見駅から徒歩10分ほどの住宅街(豊岡町)にありますが、1日平均90人の親子が集うほど活況を呈しています。親子が自由に時間を過ごせるフリースペースの運営と併せて、助産師、保健師や栄養士などの相談日を毎月定期的に組み入れ、専門的な相談にも応じています。
② 活動実績(平成21年4月14日~平成22年3月末)
拠点利用者数 19,161人
相談件数 1,886件
(2)磯子区地域子育て支援拠点「いそピヨ」
① 平成22年1月より磯子駅前の複合ビル「トワイシア横濱磯子」2階に開所。アクセスの良さもあり、多数の親子の利用で賑わっています。なお、開所に先立ち「子育て支援ネットワーク形成事業」を区より受託し、区が実施する子育て支援や母子保健活動、区内の子育て関係団体等への訪問を行い、各所の活動状況を調査・把握し、開所後のネットワークづくりにも取り組んでいます。
② 活動実績(平成22年1月~3月末)
拠点利用者数 4,946人
相談件数 527件
図-5 神奈川県内で運営、受託している子育て支援センター(支C)・
ファミリー・サポート・センター(FSC)・支援拠点(拠点)所在地

5.書籍等の発行・配布
・既刊の子育てブックレット「まいんど」80種等の配布
子育て真っ最中の親たちの悩みやとまどいへの共感・理解を示すメッセージを掲載した冊子「まいんど」、及び子育て支援関連刊行物を配布・頒布しています。


